スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

あこがれの袴姿


ようやく平日、かかりつけのS医院へ。バスと電車を乗り継いで片道1時間。その後2時間待って、3分診療。病気になるな、ということか。


土曜の日記に関して、ちょっと訂正を。柳家喬太郎が、中学時代の思い出として古谷一行のレコードを挙げたことを書いた。趣味がシブいと評してしまった件。


喬太郎師と私は同じ歳。中学時代といえば、横溝正史が一大旋風を巻き起こした時代だ。1976年に角川春樹事務所が「犬神家の一族」を引っさげて映画界に進出。翌77年には、毎日放送金田一耕助シリーズを連続ドラマとしてスタートさせている。ドラマで金田一を演じたのが、古谷一行。小学校時代に江戸川乱歩怪人二十面相モノで探偵小説の面白さを知り、このブームで和製探偵小説に内在する淫靡な魅力を知ったであろう同世代にとって、古谷さんは、どこか大人の世界を水先案内してくれる知恵者のような存在だった。カッコいい兄貴でもあった。だから、キョン師が、お小遣いをはたいて古谷一行のレコード「三軒茶屋」を買うのもうなずけるわけで。


その後、古谷氏は「金曜日の妻たち」で不倫夫を、舞台「マディソン郡の橋」で不倫カメラマンを、ドラマ「失楽園」で放送コードぎりぎりの情交シーンを熱演した結果、私の脳内では、若きころの清廉なイメージに「古谷一行=人妻専門」という図式が上書きされてしまい、あのようなコメントとなった次第。まことに申し訳なく。


ところで、かつての金田一耕助シリーズ。調べてみると、そうそうたる顔ぶれがメガホンをとっている。工藤栄一犬神家の一族)、森一生(悪魔の手鞠唄)、蔵原惟繕(本陣殺人事件)。中でも、池広一夫が監督を務めた「八つ墓村」は、鰐淵晴子の怪演もあって、映画版をしのぐ傑作だと記憶する。


このシリーズもすべてDVD化された。私も密かに好きだった(でも、レコードは買わなかった…)清らかな古谷さんを偲ぶためにも、今度じっくり観てみたい。