昨夜のこと。久しぶりに夜の2丁目を散歩した。2丁目といえば、もちろん、あなた、新宿ですわ。定宿が満杯だったので、ネットで新規ホテルを予約したのだが、それがグーゼンにも2丁目。磁力を感じましたね。
新宿2丁目。
トランス・ジェンダーの取材をしていた頃、足繁く通った街だが、ここ3年は、とんと遠ざかっていた。久方ぶりに足を踏み入れて、いやあ、驚きました。熟年オジさまの多いこと。おしゃれなボーイズやマッチョ系カップルに混ざって、オジさまたちは一様にポロシャツにブルージーンズ。アポロ・キャップをかぶり、腰には定番のウエスト・ポーチ。そんなわかりやすい団塊ファッションで決めているのである。何かアイコンのよう。こんなところにまで2007年の風が……しばし感慨にふける私。
新宿公園の近くで、ひとりの紳士が青年をナンパしていた。年のころは60代半ば。自民党の武部幹事長に似た小金持ち風。これがですね、誘惑というより、ほとんど部活の勧誘。微笑みながらも、強く、熱く、口説きにかかっているのだ。市民運動じゃないんだから、もっとスマートにやってください。
えらいのは、青年。まだ20歳そこそこだと思うのだが、この熱血ナンパおやじの話を、ちゃんと聞いてあげているのだ。見事なホスピタリティ。この光景には笑ってしまった。
密やかながら、しっかりとした不文律のある新宿2丁目というコミュニティ。かつては、土足で上がり込もうとする人間は自然に排除されていったものだが、団塊族の前には、そのバリアも効かないのだろうか。どうか、これ以上、魔手が及びませんように。ちょっと祈るような気持ちになってしまった。