スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

手話は格闘技

bluesnake2007-11-01



落語の「手話通訳」が、ちょっとした騒動になっている。このニュースで思い出したのが、先日のこと。名古屋でホーキング青山の講演を聞いた。青山氏といえば、ビートたけし立川談志を師と仰ぎ、毒舌系のトークを売りにしている漫談家


愛知県弁護士会主催の講演だったので、青山さんのトークに手話通訳がついた。ブラックな漫談を通訳する……てな行為自体、シュールなことだが、この手話が、すごい「芸」になっていたんですね。通訳をつとめたのは清楚な教師風のご婦人たち。講演が始まるや否や、舞台袖から静かに現れ、青山氏の斜め後方にピタッとはりついて、手話を開始。


ところが、ネタは……


「談志に酒を飲まされ、車イスで酔っぱらい運転させられそうになった顛末」「たけし邸でゲロをぶちまけた夜」や「真っ裸になった鶴瓶がからんできた騒動」なんて危ないエピソードのオンパレード。しかし、通訳女史は、まったくうろたえることがない。すべてスピーディーに表現していくんですね。見物でした。まさに名人芸。通訳と名乗る以上、どんなネタでも漏れなきよう正確にお伝えします。そんなプロ根性がみなぎっておりました。


「酒酔い運転」も「ゲロ」も「真っ裸」も、実に的確なゼスチャーなんですね。シックなスーツできめたご婦人が、「寝ゲロ」を表現する姿には、正直、感動を隠せませんでした。この奥深さはタダモノではない。


最近は手話通訳がついた落語会も増えているそうだが、古典落語となると古語や符丁の使用頻度も高いし、どうなのだろう。例えば、おなじみのところで「寿限無


パイポパイポ パイポシューリンガン
シューリンガングーリンダイ
グーリンダイポンポコピーポンポコナーの長久命の長助


これ、どうやって、通訳するんでしょうね。言い立てなのでスピード速いし。ちょっと見てみたいかも。


余談ながら、今回、失態を演じてしまった安来市には、来年の敬老会に、ぜひともホーキング青山氏を招いてほしい。手話通訳の人も遺憾なく手腕を発揮できるだろうし、じいちゃんも元気でるぞ。間違いなく。