スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

本の樹海

bluesnake2008-01-16



年明け早々、VDT症候群が再発。仕事以外は、極力、目を休めなくてはならないのだけど、いま異様に読書欲がみなぎっている。『桜庭一樹読書日記』(東京創元社)を読んだせいである。この本、全編に「本が愛しくてたまらない」という空気がみなぎっていて、それが、強く深く、こちらに伝染してくる不思議な一冊。で、気がつくと、桜庭ワールドに引きずり込まれて、あれもこれも、ぜんぶ読みたい。読書の沼に溺れたい、と口走る「患者」になっているのである。


東京創元社サイトの原稿をまとめたものなので、紹介されるのは、6割が海外ミステリー。私には「領域外」の作品が多いのだが、それでも首根っこをつかまれた箇所をマークしたら、付箋が杉林のように立ってしまった。


桜庭さん、驚くほど本を読んでいる。プロだから当たり前といえば当たり前だが、相当量の執筆をしながら、これだけの数をよく読めるなぁ、と感嘆。なんでも、中学生の頃から、近所の「バラックみたいな古書店」で何時間も立ち読みする筋金入りだったそうだ。店の主人には「ハタキで頭を、静電気が発生するほどはたかれた」らしいが、新刊書店ならともかく、古本屋で読破ってのは、なかなかできることではない。根性のすわり方が違う。


というわけで、桜庭菌に冒された結果、読みたい本が山のようにできてしまった。弱り目を抱えて、さてどうしたものかと、にんまり思案中。


いの一番に読みたいのは、これ。『愛についてのデッサン』(野呂邦暢)。桜庭さん曰く「吐き気がしてしまった」ほどの傑作。