スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

京都は燃えていた

bluesnake2008-07-19



妄想してるだけじゃ、つまらない。なので、行ってきました、京都へ。


夏の京都は、その暑さゆえ長らく敬遠していたのだけれど、いやぁ、いいものですね。じつに艶っぽい。祇園祭の時季だけに、街が華やいで、官能的ですらありました。


OSKの南座公演「レビュー in Kyoto 2」


前半は、源氏物語に題材をとったミュージカル「輪舞曲 薫と浮舟」。これはですね、もう「もったいない」のひとこと。先日も書いた通り、優雅な平安王朝の世界に、いきなり洋舞のワルツ、サンバが闖入してくるんですよ。かと思えば、スーツ姿のビジネスマンが群舞。こういう前衛的な構成・演出は、いい方に転がれば、理屈を突き抜けたおもしろい舞台になったのだろうと思う。しかし、全体を紡ぎ上げるストーリーが弱いので、その境地にまでは至らず、空回りしてしまった感。実験精神は大好きだけど、試みを具現化するには、スタッフ側に相当な力量が必要なのだ、と思い知る。


で、ちょっと微妙な気持ちのまま、後半のレビューへ。ところがどっこい。レビューは、素晴らしかった。「ダンスのOSK」が炸裂しておりました。とりわけ、ゴスペルの熱唱から、サンバ、京都メドレー、フィナーレへと向かう流れがステキ。


ゴスペルは、男役・娘役の垣根がなく全員が同じ衣装。こういう「男女同格」の感じが、OSKの魅力のひとつでもあるわけで。自由闊達。天真爛漫。


そして、京都情趣をたっぷりと盛り込んだレビュー。ゆるやかな祇園囃子が、次第にテンポアップしてラテンのリズムに変化し、サンバへ突入していく流れとか、しっとりしたメロディの「女ひとり」(デュークエイセスの名曲)が、いつの間にかジャズ風になり、ラインダンスへとつながるアレンジには、痺れました。そうそう、OSKはこうじゃなくちゃ。


今回、凄いと思ったのは、衣装替えの速さ。総勢30名という(レビュー・カンパニーとしては)少人数体制なので、ほとんどの団員が出ずっぱりなんですね。さっきまで可愛らしくラインダンスを踊っていた人が、アッという間に黒燕尾の色男に変貌してたり、花道を引っ込んだと思ったら、次の瞬間、涼しい顏して袖から踊り出て来る。猿之助も真っ青の早変わり。もう、ほとんど1時間を全速力で走っている感じ。完全にアスリート並みの運動量。心配や筋肉への負荷も最高値に達しているんだろうけど、それを感じさせない涼やかさに、私は感服させられました。どうして、そこまで踊れるの?


燃えるような京都の夏にふさわしい、熱い舞台に今宵も満足。願わくば、次回は、OSKの真骨頂である粋なイナセで痛快な和物レビューを見たいなぁ。