スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

初!キリヤン

bluesnake2008-08-10



博多で念願のキリヤン! 楽しかった。九州まで来てよかった。ということで、本日の日記は、ねじが緩んでいます。許してやってね。


九州もこの夏いちばんの暑さ。屋外へ踏み出すのに決死の覚悟が要る猛暑のなか、はーるばる来たぜ、博多へ。いや、わたくし本当は夏が大の苦手なんですよ。去年なんか、お盆の一週間、家でブッ倒れていたんですから。あげく、十月まで夏バテを引きずった軟弱モノなのよ。それが今年は夜行列車で九州へGO ! GO! だもの。人生、一寸先は闇(バラ色?)ホントにどう転ぶか、わからんものです。前夜、新大阪を「ムーンライト九州」で出発。青春18きっぱー(当然、私も)の熱気でむせ返る車内で、テッちゃんのマニア話に聞き耳をたて、途中駅では意味もなくホームに降り、当然のごとく写真を撮りまくり、ほとんど一睡もせずに朝八時、博多駅へ到着。


まずは、チェックしておいた「博多新劇座」へ向かったんですが、ここで観た芝居が素晴らしかった。(詳細は改めて)


さて、本命の博多座タカラヅカ月組の公演「ME AND MY GIRL」東西の大劇場とは座組を変えた若手中心メンバーで、二番手男役のキリヤンこと霧矢大夢が座長だ。まずは、生で観たキリヤンの印象を。あっ、この辺りから、ほとんどお星様キラキラ・モードですので(笑)


●ダンスが優雅


映像で観る限り、キリヤンは、キレとスピードで魅せるようなダイナミックな踊りが多かったのですが、エレガントなダンスも素晴らしい。デュエット・ダンスなんか氷を上を滑るようで、どの瞬間を切り取っても絵になるほどの美しさ。まったくブレがない。基礎がきっちりできている人なんだな、としみじみ感じる。


●表情が細やか


ハッピーな表情よりも、むしろ哀愁を帯びたシーン、切ない場面での表情が映える。表情の細やかさと豊かさに脱帽しました。キリヤンといえば、歌・踊り・芝居と三拍子そろったミュージカルスターだけど、ストレートプレイでも腕力を発揮しそうな予感。


●不思議な色気


うーん、これは説明が難しい。キリヤンには、タカラヅカ男役特有の匂い立つようなフェロモンが乏しい……てのがヅカファンの間では定説(?)になっているようですが、ナマで観た最大の印象は「なんて色っぽい人なの」でした。たしかに「ザ・男役」系の色香は少ない。かといってフェアリータイプの中性的な色気でもない。強いて名付ければ、動物系? アフリカの草原を疾走する野生動物から放たれる生命力というか、大地の匂いのする色気というべきか。とても不思議な色気(しかも妖艶)の持ち主であることを発見。


とまぁ、作品そのものよりも、キリヤン・ウォッチングに全勢力を注いでしまったわたくし。気がつけば、三時間十五分がアッという間に過ぎてしまい、えっ、もう終わりなの、と愕然とする始末。しまったあ、全体を観てない。せっかくの「ME AND MY GIRL」なのに。


唯一残念だったのは、相手役。まだ新人といっていいキャリアの羽桜しずくが、恋人のサリーを務めたんだけど、キリヤンとの間に力量の差がありすぎたかな。とても頑張っているのは手に取るようにわかるんですが、残念ながら歌唱力が追いついてない。それに、羽桜さんは持ち味が可憐なお嬢様タイプ。ロンドン下町の魚市場で働く、がらっぱち娘には見えないんだな。


この「ME AND MY GIRL」は、「サリーが主役」といっていい。それほどサリー役の演技力に成否がかかる作品だと思っていたんですが、やはり痛感しましたね。(ちなみに、1985年のロンドン再演版では、オスカー女優のエマ・トンプソンがサリーを演じているんですが、歌が素晴らしい)ビルの幸せを思って身を退こうと決めたサリーが切なく歌う「Once You Lose Your Heart」というナンバーこそ、この古典ミュージカルの要。はっきりいって、これ、キリヤンに歌ってほしい! いや、冗談ではなく、キリヤンがサリーを演れば、すばらしいでしょう、というのが、本日の結論。過去に女役でも評判をとったキリヤンだもの、ここはひとつ、サリーも。ビルは瀬奈じゅんサマで、ね。