スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

劇場文化のカガミ

bluesnake2008-08-11



真夏の博多ばなし。まだ続くのかって? いや、どうしても書いておきたいことがありまして。


今回の観劇旅では、博多座の劇場スタッフの「プロの接客術」も心に残った。


博多座はまったく初めてだったんですが、ハードもソフトも素晴らしい劇場である。シャレた外観、観劇への高揚感を盛り上げてくれる大階段のアプローチ。広々としたエントランスとコーヒー・ショップ。そして、木材を上手に活用した重厚な劇場空間。こんな劇場が繁華街の真ん中に、それも地下鉄から直結した場所にあるんだから、博多の皆さんがうらやましい。


特筆すべきは、かゆいところに手が届く接客サービス。当日は直前に夕立があったので傘を持って劇場入りするお客さんが多かったんですが、玄関前に係員がいて「傘立てのある場所」へ誘導してくれるんですね。これ、簡単なことに思えるけど、意外とどこの劇場もできてないサービス。

  • 切符売場。

ネット予約だったので、専用の発券機で入場券を受けとる手はずだったんですが、なにせ初めての劇場なので場所がよくわからない。売場前で戸惑っていたら即座に係員が飛んできて、発券機へと誘導してくれました。「もしよろしければ…」と、代わりに機械の操作までやってくれたんですね。これには、大感激。その女性係員が品があってエレガントで、まぁ、気持ちのよいこと。

  • ビックリしたのは、休憩時のトイレ。

女性トイレに長蛇の列ができるのは、どこの劇場でもおなじみの光景ですが、なんと博多座には「トイレの交通整理係」が配置されているんですね。行列の先頭に女性のスタッフがいて、個室が空いたら、即座に誘導。「右、三番目へどうぞ」って具合にスピーディーに案内してくれる。おかげで戸惑うお客さんもおらず、驚くほど待ち時間が短かったです。

  • 売店の売り子さんもいい。

明るくテキパキと処理をしていて、好感度抜群。パンフレットを買った際、混雑していたこともあって、商品の受け取りが少しばかり(ほんの数秒ですが)後回しになってしまたんですよ。そうしたら「誠に申し訳ありませんでした」って。こちらが恐縮するほどのていねいな言葉。いやー、いつも某伝統芸能老舗劇場で「それでもサービス業?」って感じのオネーさんばかり見ているもので、感激のあまり涙がでそうになりましたよ。


芝居好きにとって、観劇前のワクワク感や終演後の余韻をブチ壊す係員のキカイ的な態度ほど哀しいものはない。どんなに舞台の出来がよくても、サービスがダメなら感激は半減してしまうもの。そういう意味で、博多座マンパワーは劇場文化の鑑だと思いましたね。


しかも、博多座はですね、中州繁華街の入り口にあるのよ。芝居がはねたら、そのまま屋台街でも天神でも雪崩れ込むのに最高の立地。
これ、ポイント高し(笑)徹夜明けで芝居二本はしごしてヘロヘロになっていたにも関わらず、私、直行しましたね、屋台へ。


博多座では、来年の春「ミス・サイゴン」を上演する。ウェブサイトを見ると、開場十年目にして念願の作品上演にこぎつけたスタッフの並々ならぬ熱意が伝わってくる。来年の春も博多へ行きたいぞ、ぜひとも。