スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

純愛レビュー

bluesnake2008-10-08



OSKの武生公演。出演していた二十名のうち、七名が初舞台! ファンの方のブログで知ったんですが、いやー、驚いた。初舞台生ってことは、今年の春に養成所を卒業したばかり。それで、あれだけ美しくパワフルに踊れるとは、スゴい。


今日もOSKの話題です。先日も書いたんだけど、第二部の洋物レビューに突如登場した番頭さんと丁稚どん。みなさん、あまりに軽妙な演技がうまいものだから、わたくし妄想しちゃいました。OSKで「紺屋高尾」を演ってほしい。


「紺屋高尾」は古典落語の名作。講談、浪曲をはじめ、歌に映画に舞台にと脚色され、いまに受け継がれる人情噺。これ、レビュー向きの逸材だと思うんですが。

主役は若き紺屋職人の久蔵。この久蔵が、吉原最高位の花魁・高尾太夫に一目惚れ。身分違いの恋に周囲はあきれるものの、純情一途の久蔵は、どうにも彼女をあきらめられず。高尾に逢いたい一心で、がむしゃらに働き、稼いだお金が十五両。全財産を手に、ふるえる気持ちで吉原へ乗り込む久蔵。念願かなって、高尾と夢のような一夜を過ごしたものの、非情にも、やがて別れの朝が来る。が、運命の女神は、意外な結末を用意していたのだった……

落語ファンには、おなじみのストーリーですが、これね、ぜひ、レビューで観たいなぁ。舞台が吉原ですから花魁道中あり、芸者衆の華やかな歌舞あり、豪華絢爛なレビューになりますよ。主役の久蔵は、応援したくなるほど純情一途のイイ奴だし。ストーリーの骨格もしっかりしている。ドラマチックな見せ場が随所にあるので芝居としても十分に面白い。それに、なんたってハッピーエンドってのがいいじゃありませんか。


「紺屋高尾」といえば、六代目三遊亭円生。師の高座があまりにも有名なので、生粋の江戸落語だと思っていたんですが、実は原典は「上方モノ」なんだとか。その昔、上方に「油屋与兵衛」という人情噺があり、それが東京へ移植されて「紺屋」へと発展。上方の「油屋」は、明治以後、演じ手もなく廃れてしまったそうですが、かつては歌舞伎にもなるほどの人気。先代の実川延若なども演じていたそうです。だから、紺屋高尾を舞台にすることは、じつは、上方文化を継承することにもなるわけなんですね。いやいや、そんな深い意味などなくても、これ、面白くなりますって。


私は昔のOSKを知らないので、もしかしたら、過去に上演しているのかもしれないんですが、(上方世話モノを得意としてきた劇団だし、可能性は高そう)レビュー化を希望したいです。