スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

祝!千秋楽(1)

bluesnake2008-11-09



OSK武生公演の千秋楽に行ってきました。


私、今月まったく余裕ないんですよ、物理的にも、お財布的にも。でも悪魔(天使?)のささやきが聞こえたの。「長期公演ってものは、初日・中日・楽日を観てこそ、ファンじゃないのか?」


聞こえてしまったものは、しょうがない。逆らえませんよね。諸事万端、モーレツな勢いでこなし、仕事もマッハで片付け(やればできるじゃないか!)あらゆるしがらみを断ち切り、車上の人となりました。


いやー、良かった。行った甲斐があった。


まだ、脳内ネジがゆるんだ状態ですので、以下「なんのこっちゃ?」的な文章が「延々と」続くかと思いますが、どうぞ、お許しくださいませ。


千秋楽。いちばん驚いたのは、この公演で座長を務めた高世麻央の、深化。


高世さん、元々、見目麗しく、うまい人なんですが、前回観たとき(10月18日)に比べると格段の変化。歌もダンスもグッと深みを増し、色艶を極め、凄まじいオーラを放っておりました。37日間、88ステージ(休演日なし!)という長丁場を走りきった自信と気迫が全身にみなぎり、もうね、圧倒されるほどの美しさ。


あぁ、やっぱり舞台は生きもの。作品も演者も刻一刻と変化を遂げていく。その醍醐味を久々に噛み締めましたね。


高世サマ(もはや、サマですわ)、すべてを演じ終えたフィナーレでは、ピーンと張りつめていた緊張の糸がほどかれ、なんとも優しい笑顔になったんですね。その一瞬の、ふわりとした着地の仕方がよかったなぁ。全力で走り抜いた者だけが獲得できる「解放感」とでも言うんでしょうか、とにかく美しかった。


カーテンコール。すこーしシャイな感じで、でも、堂々と挨拶する高世さんを見て、あぁ、人間って、こんなにいい表情するものなんだな、としみじみ感じましたね。


そして。


初日にビックリした「あきんど」の景。そこには衝撃の結末が!


花の浪花の呉服屋を舞台に、いがみあい、罵りあい、大げんかを繰り広げていた丁稚の末吉(桐生麻耶)と女中のお花(牧名ことり)。けんかは「大いなる序章」に過ぎなかったんですな。


最後の最後、音楽がふいに止んだかと思うと、末吉クンが、お花ちゃんの目をじっと見つめ……


「お花、ほんとは前から好きやってん」
「実は……わたしも…」


この瞬間、客席はどよめいておりました。


「幸せになろうな」
「うん」


あんたら〜、「好き」の一言が口にできなくて、今までケンカばっかりしとったんかい!


思わず突っ込みを入れる私。でも、許す。二人が可愛いすぎるから、許す。ハッピーエンド最高。この二人、いずれ夫婦になって、暖簾分けで小さな呉服屋でも始めるんでしょうか。でも、こんなに気が強くて、美男美女のカップルじゃ、きっと波瀾万丈の日々だろうな。今後の行方が、わたくし、気になってしかたないです。続編希望!


千秋楽とあって、会場は立ち見もでるほど超満員。二階席には横断幕。大きな文字で「おつかれさまでした!」。高世さんの後援会の方が、お客さん全員に(!)配ったペンライト、そして、地元有志のみなさんが用意した紙テープとクラッカーで、フィナーレはちょっとしたお祭りのような盛り上がり。いいなぁ、この手作り感。武生のみなさん、本当にこの劇団を応援しているんだな。そんな熱意が、手に取るように伝わってきて胸をうたれましたよ。


これまでいろんな公演の千秋楽を観てきたけれど、こんなに温かく、気持ちのいい、楽の風景ってのはそうそうないです。


そして、この千秋楽。超絶なまでに、私をときめかせる事態が、さらに、さらに起こっていたのであります。

(以下、続きます)