スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

気になる美形

bluesnake2009-04-14



友人ワシャさんの日記を読んで、興奮。


ワシャさん、名古屋・御園座で上演中の『雷神不動北山櫻』を観た折、美しい女形を見つけたそうだ。その美しさたるや「生半可な奇麗さではなかった」とか。歌舞伎観劇歴ウン十年の見巧者であるワシャさんをして「クラッときました」と言わしめるほどだから、これはぜひ、ご尊顔を拝察したいと、情報要請メールを送る。


超美形の女形さん、当のワシャさんも名前がわからないようで、現在、鋭意調査中とのこと。


この公演、座頭は海老蔵。以下、芝雀、友右衛門、門之介、笑三郎春猿といった中堅どころが脇を固めている。美形さんは「並び腰元」だったそうだがら、いずれかの門下の若手だろう。座組から推察するに、20代前半の新人さんかもしれない。わくわく。もしや未来のエース誕生かも。


かつては毎月のように歌舞伎座へ通って、分不相応な散財をしていた私であるが、ここ数年、歌舞伎を観るのは、年に1、2回になってしまった。最大の理由は、美しい女形が減ったこと。これに尽きる。ホント、今の歌舞伎界、思わず目が釘付けになる「若手の女形」いませんね。きれいだなと思うのは、菊之助ぐらいか。彼も、もう30代だし。


演目自体は観たいものも結構あるのだが、いつも配役が発表されると、ビミョーに気分が萎えてしまう。


せっかくの『女殺油地獄』なのに、お吉が、また○○か……萌えない、パス。


頼むから××以外のお初で『曾根崎心中』を上演してくれ。だったら観に行く、一等席で。


女形は舞台の華なのだから、まずは「美しさありき」だと私は思う。技芸は、そこに連綿と積み重なっていくもの。序列とか世襲とか複雑なことはわからないが、きらびやかな物語世界に浸りたいと劇場へ向かう観客を興ざめさせるキャステイング(やけにでっぷりした遊女とか。二重あごのお姫様とか。多いです)は頼むから、やめてほしい。


数年前までは、中堅クラスに澤村藤十郎、嵐徳三郎(好きだったなあ)といった妖艶で深みのある女形が何人もいて、舞台をグッと艶やかにしていたのだが、彼らが亡くなったり、療養のため退いていった頃から、なんだか芝居全体がおもしろくなくなった。


玉三郎は、昭和44年、三島由紀夫が絶賛評を書いたことで、スターダムを駆け上がっていった。わずか19歳のときだ。天性の美貌と才覚を持っていたとはいえ、それを発掘し、引き上げる支援者と観客がいなかったら、トップスターにはなれなかっただろう。


だから有望株は、見る側も一緒になって、どんどん応援していくべき。しつこいぐらいでいい。待っていてはエースには育たない。いま、20代の若手女形エースを作らなければ、いずれ歌舞伎そのものがやせ細って、つまらなくなるような気がする。


だから、ワシャさん、情報をよろしくお願いしますね(笑)