スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

レビュー in KYOTO 第2部

第2部 洋舞レビュー「DREAMS COME TRUE!」


変化球が多かった第1部に比べ、こちらは正統派という印象。ジャズ、ラテン、タンゴ、スパニッシュなど、あらゆるジャンルの歌とダンスが盛り込まれた満艦飾レビューだった。


その分、キレがあってパワフルなOSK色が、やや影をひそめてしまった感は否めない。とはいえ、祇園祭開催中の京都という上演環境。京都観光の途上、南座で初めてレビューと出会うお客さんも少なくないはず。(実際、私の両隣の方々は他府県からの観光者。レビュー初体験でした)。様々な歌とダンスがギュッと詰め込まれた構成は、お客さんを攫む手法としては正攻法なんでしょうね。

■第1場「プロローグ」〜第2場「JAZZ」


テーマソングに乗っての幕開き。燕尾服の男役にドレス姿の娘役。これぞレビューというシーン。続いて、スタンダード・ジャズに乗せてのシャープなダンス。ここは、期待のはやみ甲先生の振り付けだ。「The Lady is a Tramp」で桐生麻耶の伸びのある歌声がいい。桐生さん、ここでも目の覚めるような黄色のスーツ。華のある人なので、こういう派手な衣裳もちゃんと着こなしてしまうんだなあ、と感心。モテモテのキザ男が女の子にちょっかいを出すのだけど、相手にされず、最後にはお手上げ。そんな軽妙な小芝居が、ナイス。桐生さん、演技がうまい。


「Sing Sing Sing」は重低音多用、ビートのきいたアレンジ。大迫力の群舞で、OSK娘役の「男前ぶり」が堪能できる場面。娘役が本当にカッコイイ。惚れ惚れ。これよ、これこれ、という気分。


■第3場「ひとり星の上で」


一転、メローな音楽。花道からせりあがってきた方を見て、目がテンになる私。ひらひら羽飾りのついた帽子に、パフスリーブの王子様ルック。足元は真っ白なブーツ。わっ、リボンの騎士だ、とオペラグラスを覗くと、そこにいらしたのは、高世麻央さまでした。第一部で水もしたたるイイ男だった高世さんが、こんな御姿に……(落涙)


コミカルな場面が始まるのか、と思いきや、しっとりとバラードを歌って、霧の彼方に去っていくのみ。頭の中を「???」が駆け抜けていく。


■第4場「アラビアン・ナイト


高世騎士は、この場面への水先案内者かなと思ったのだけれど、そうでもない様子。前場とは一切脈絡なく、舞台はアラブの宮殿。花道から、ひとり彷徨う青年・桜花さんが登場。


うーむ、この辺り、もはや忘れかけてます。我が記憶力の無さにトホホ。


この場面、私的なツボは、宮殿の太守と愛人に扮した桐生&牧名コンビの登場時の「ふてぶてしさ」でした。ふふっと薄笑いを浮かべつつ、上手からヌッと現れた瞬間の空気が、いい感じにダークで良かったです。この二人、悪役もハマっていて、ますますコンビ萌え。


■第5場「舞踏会」〜 第6場「チェリー・ガールズ」


チェリーガールズと若手男役の優雅なダンス。男役の衣裳が藤色(薄い紫)なのだが、照明と合っていないだろうか、うーん、冴えない。紫系統は、舞台で使うのは難しい色だと思う。


ロングドレスで登場したチェリーガールズは、ここで「早変わり」を見せる。舞台奥に引っ込んで、わずか10数秒でミニスカート姿に変身。しかも髪型まで変えてしまう。すごい。でも、あまりのスピードのため、私の両隣のお客さんは、これが早変わりだと気づいていなかった。(再度出てきたのは別の娘役だと思っていたそうです)いや、それほどの早ワザだったのだが。


考えてみれば、歌舞伎にせよ商業演劇にせよ「早変わり」という手法は、有名役者が派手に見せる場合が多い。「さぁ、ここが見せ場よ、見逃さないで」というケレン味たっぷりの演出がつきものだ。チェリーガールズの場合、そういう「これ見よがし感」がなく、サラリとやってしまったので(そこがスゴいところですが……)、ややもったいないかな、と感じた。かといって、ケレン味たっぷりの演出は、チェリーガールズには似合わないだろうし。早変わりという手法の難しさを実感した場面だった。


■第7場「スパニッシュ」〜 第8場「タンゴ」


熱くてシャープな男役のスパニッシュ。個人的に「待ってました!」な場面。衣裳も黒で、とにかくカッコイイ。闘牛士風のマントを使った「スパニッシュB」が特にステキだった。この場面、入団1年目の華月奏、研修生の匠りょうも出演していたのだが、しっかり踊っているんですね。華月さん、匠さんとも存在感がある男役。これからが楽しみ。


■第9場「Begin the Begine」


日劇ダンシングチームの真島茂樹氏が振りつけた、今回いちばんの見どころ。冒頭、ひとりセンターに立ち、ゆっくりと低音部から歌いだす桜花さんに感動する。大きく包み込むような桜花節。その声にちょっと涙してしまう。


娘役、男役とも夏らしく真っ白な衣裳がシンプルでいい(南国風の団扇が可愛い)。三階席から見ると、次々と変わっていくフォーメーションがきれいで、うねるようなグルーブ感もあり、あぁ、このままずっと見ていたいと感じた。途中、ボレロのリズムを取り入れるなど音楽のアレンジも本当に秀逸で、至福のひとときでした。DVDが発売されないのは、返す返す残念。


■第10場「Dream Boys」


「Begin the Begine」をめいっぱい堪能したので、え、まだあるの?と言いそうになる。いや、うれしいことなんですが(笑)


「Dream Boys」は若手男役3人の場面。若手諸氏を見て、フルスロットルで踊りつつ「歌う」のは至難のワザなんだな、としみじみ思う。トップクラスの方々は、いつも軽やかにこなしているので、そう感じることはなかったんだけど。やはり体力(及び肺活力)が並大抵の人達じゃないんだ、と再認識。


■第11場「Blue MOON」〜第12場「フィナーレA」〜第13場「TONIGHT」〜第14場「パレード」


デュエットダンスからラインダンス、フィナーレへと続くヤマ場。美しかったです(それだけかい!)「Begin the Begine」で観劇体力を使い果たしたようで、このあたり、露天風呂に浸かって絶景を眺めるかのごとく、ホワ〜ッとした気分で楽しんでいた記憶しか……


強いて言えば、ラインダンス。センターを仕切っていたロケットガール平松沙理のキレは抜群だったものの、スピードと迫力を旨とする、いつものラインダンスが見られなかったのが、やや残念。


カーテンコールで「桜咲く国」。隣席の女子高生コンビが「この曲、耳に残る〜!」と大受け。2度目のカーテンコールでは「覚えちゃったかも〜」。恐るべし「桜咲く国」。