スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

潔い人生

朝のニュースで水の江滝子さんの死去を知る。


画面に映し出されたターキーさんの写真を見て、死去のニュースなのに慶事のような清々しさを感じてしまう。不謹慎なことは承知だが、そうとしかいいようのないほど、ハツラツとした笑顔だった。享年九十四。大往生だったことをレビュー・ファンとして心からよろこびたい。


ニュースでは、SKDの大スターという側面よりも、後年の映画プロデューサー業やタレントとしての活躍の方が大きく扱われていた。無理からぬことだろう。レビューに出会い、OSKの舞台を観るようになっていなければ、私もターキーさんに対しては、そういうイメージを持ったままだった。


ターキーさんは、日本のレビュー史における「男装の麗人」第1号である。ショートカットなどという言葉さえなかった昭和5(1930)年、長い髪をバッサリ切り落とし、いまにつながる「男役」の原型を作り出した人なのである。


ターキーさんの果敢な行動がなければ、あるいは男役の「様式美」というものは生まれず、(宝塚歌劇団も含めて)女性のレビュー劇団という存在そのものが潰えていたかもしれない。歴史に「if」は禁物というが、もし水の江滝子がいなかったら、レビューという芸能は平成の世には存在しなかったかもしれない。そう思う瞬間がある。