柳家喬太郎なにわ独演会
柳家喬太郎なにわ独演会に行ってきました。500席のドーンセンター(大阪・天満橋)が昼夜とも即日完売という大盛況。
喬太郎師匠は、「親子酒」「稲葉さんの大冒険」「心眼」の3席を口演。いずれも喬太郎の高座で聴くのは初めての演目ばかりでした。
「親子酒」は禁酒中にもかかわらず、なんとか酒を飲みたいと女房ににじり寄る旦那が上手い。すねたり懇願したり、説得したりとあの手この手で酒にありつく。
「稲葉さんの大冒険」は三遊亭円丈師匠の新作。以前、円丈版を聴いたことがあるんですが、SF的な味わいのある噺でした。いかにも円丈さんらしいシュールな展開で先が読めないストーリーですが、それを喬太郎は、登場人物をデフォルメして、爆笑につぐ爆笑噺にアレンジ。
生真面目な正確で、判で押したような毎日を送っている稲葉さん。ある日、キャバクラのティッシュをもらってしまい「これは家に持って帰れない…」と捨て場所を探しているうちに次第に大騒動になっていくストーリー。途中、公園で遭遇する「長谷川さん」という突飛な爺さんのキャラクターが爆笑ものでした。演者によって、こうも違った噺になるんだなと、実感しました。
ちなみに、円丈師匠は喬太郎が「新作の師」と仰ぐ人物です。
トリは人情噺の「心眼」。
言わずと知れた名人、8代目桂文楽師匠の十八番。「心眼」は、文楽師匠の至芸が残っているため、長らく高座にかける噺家がいなかったそうで。近年、少しずつ復活しているようですが、生で聴いたのは初めてでした。こちらは、盲目の按摩と美人芸者のやり取りが実に色っぽい。くすぐりをほとんど入れずの熱演でした。
喬太郎師匠は爆笑を呼ぶ新作も上手いけど、本寸法の古典も実に味わいがあります。
弟子の八楽さんと師弟コンビで高座に登場。てっきりお弟子さんかと思っていたら、なんと親子だとか。お父さんの跡を継いでいるんですね。2人で同じお題を切っていくのですが、見事に一つのストーリーになっている。いやいや、お見事でした。