スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

「圏外編集者」という生き方

f:id:bluesnake:20191004150832j:plain


先日、関西ライターズリビングに行ってきました。

 

この会は、ライターや編集者などライティングに携わる著名人を招いて、その仕事術をうかがう会です。9月のゲストは、編集者・ライターの都築響一さん。「圏外編集者」というタイトルがふさわしい、まさに異色の人です。私は、そのアウトサイダーぶりが好きで、新刊が出るたびに心待ちにして読んだほど。

 

都築さんの仕事術は、どれも出版業界へのアンチテーゼになっていて、痛快そのもの。

 

2012年前から週に1回メルマガを発行しているんですが、これがもう凄いとしか言いようがない。雑誌1冊もありそうなボリュームで、1号あたり250円という値段。サンプルが自由に読めますので、良ければご覧ください。

 

http://www.roadsiders.com/

 

現在このメルマガだけで、収入の8割を得ているそうです。直販で8割とは、なかなか凄い。

 

たしかに日本は世界一の自費出版大国。コミケの3日間だけで、数百万円売る作家も少なくありません。「だから、書きたいことがあれば、自分で出版すればいい。既存のメディアに乗っかる必要はない」ときっぱり言い放つ都築さん。

 

f:id:bluesnake:20191004150916j:plain

 

書籍は全ページPDFで製作して、USBで販売。これなら在庫を持たずに済むし、写真を拡大して見てもらえるからだそうです。大いに共感しました。

 

f:id:bluesnake:20191004151034j:plain

 

以下、印象に残ったフレーズです。

 

■企画書は書かない

 

企画書になるものは、すでに前例があるから。そんなことに時間を費やすより、まず動く。面白さが見えてきたら、そこで提案する。

 

■自腹でもやりたいこと

 

やりたいことは、自腹を切ってでもやってきた。これが創作の原点。面白がってくれる人が出てきたら、商業ベースで進めていく。

 

■カメラは値段に惑わされない

 

あくまでも道具。中級品で良い。ただ、三脚、パソコン(レタッチ用)は良いものを。

 

■「圏外」はマジョリティ

 

家庭画報』なんかの豪華な雑誌に素敵な部屋が載っているが、あんな部屋に住んでいるのは、ほんの一握り。9割の人は『TOKYO STYLE』みたいな部屋に住んでいる。だから、自分はマジョリティに光を当てている。

 

f:id:bluesnake:20191004151046j:plain

 

■自分は「色物」担当

 

秘宝館、ラブホ、居酒屋、スナックといろいろやっているが、その理由は「怒り」と「焦り」。なぜ誰もやらないのか? 他にやる人がいないからやっているだけ。

 

■保存活動は嫌い

 

無くなっていくのは、みんなが見捨てたもの。魅力が薄くなり人気がなくなったもの。無理に延命するのはどうか。ただ記録を残しているだけ。

 

63歳の都築さん。おそらく会場で最年長だと思うのですが、一番熱く、若く、エネルギッシュ、好奇心旺盛で、やりたいことが山のようにあって仕方ない。そんなトークにこちらも刺激を受けました。

 

生活の「リアル」を求めて世界の果てまでも旅する姿は、どこか現代の宮本常一ではないか。

 

そう感じました。