スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

尾道ライター・イン・レジデンス

1月に「尾道ライター・イン・レジデンス」という企画に参加しました。半年以上経ってしまいましたが、記録として書いておきます。

 

この企画は、何らかの執筆活動を行っている人が、尾道のゲストハウス「みはらし亭」に滞在して、創作活動を行うというものです。

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(ゲストハウスみはらし亭)

 

尾道は、列車の待ち時間に少しだけ散策したことはあるものの、観光や滞在は、初めてでした。

 

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第一印象として感じたのは「活気がある街だ」ということです。街の中央に1kmあまりのアーケード街があるんですが、この商店街が実ににぎやか。地方へ行くと、シャッター街をよく見かけますが、尾道には閉店している店舗は見当たらず。観光シーズンではない1月でも街には観光客(若い人が多い)が闊歩していました。

 

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クレープ屋、カフェ、ベーカリー、お好み焼き屋など、行列ができるほど繁昌しているお店も多かったです。自炊生活でしたので、毎日、山を降りて買い物する生活でした。初日は「こんな階段を昇り降りするのか!」と驚いたものの、すぐに慣れました。むしろ運動になって、毎日快眠できたほど。

 

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「みはらし亭」は、有名な千光寺山の中腹にあり、文字通り、見晴らしが最高の場所でした。この山の斜面地には、あちこちに豪邸が残されています。

 

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尾道は江戸時代に北前船の寄港地として栄え、豪商が次々と誕生した。そんな歴史があるのです。彼らは千光寺山に贅を凝らした別荘をつくり、そこで週末に茶会を開いて、客人をもてなしていたそうです。

 

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そのため、千光山にはいまも豪邸が数多く残されている。建築に興味がある人なら、見て歩くだけで垂涎ものの物件が、あちこちにありました。今も保存活動が盛んに行われていて、そのリーダー的存在が豊田雅子さん。

 

NPU法人「尾道空き家再生活動」を主催している女性です。彼女の奮闘に引かれて、全国から大勢の若者が尾道を来訪。豊田さんと知り合ううちに移住を考えるようになるそうです。おかげで商店街には、カフェや雑貨店、シェアハウス、ベーカリーなど、移住者が始めた店が並び、活気を源泉となっています。

 

この活動を取材して、こんな記事を書きました。

 

www.sankeibiz.jp

 

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私もあちこちの店に行きましたが、特に美味しかったのが「みやち食堂」。ここは古くからある街の食堂ですが、カレー中華そばが絶品でした。小さな店ですが、おかみさんの気遣いがあり、良い雰囲気。尾道在住の方に聞くと、「尾道ラーメンより断然みやちの中華そば」だそうです。たしかに納得。

 

retty.me

もう一ヵ所、とても美味しかったのが、「パン屋航路」というベーカリー。この店は何を食べても絶品ですが、特に優れものがドイツパン。朝食は和食派の私ですが、このパンに出会って、毎朝、トーストとコーヒーをとるようになったほど。お土産に買って帰ろうとしたのですが、最終日に行くと、残念なことに定休日でした。「パン屋航路」のパンを食べるためだけに尾道へ駆けつけたいほどです(笑)

macaro-ni.jp

ちなみに店名は、志賀直哉の「暗夜行路」のもじりです。志賀直哉は、一時、尾道に滞在しており、今も旧居が残っています。

 

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肝心の創作活動ですが、尾道デニムというプロジェクトを取材しました。こちらも尾道を活気を生み出しているユニークな活動です。

 

diamond.jp

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ライター・イン・レジデンスで知り合った方の案内で、念願の浄土寺を訪れることもできました。小津安二郎監督が映画「東京物語」を撮影した場所です。ここで原節子と笠知衆がたたずむシーンは今も鮮明に思い出します。

 

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というわけで、楽しかった尾道ですが、唯一残念だったのが、天気が良くなかったこと。スカッと晴れる日がほとんどなく、どんよりした空模様続き。晴れたら、船に乗って島へ渡ってみたかったのですが……。これはまた来年の楽しみにとっておきます。