『鴻上尚史のほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』
『鴻上尚史のほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』(朝日新聞出版)という本を読みました。
鴻上さんのコラムは好きで、週刊SPAの連載『ドン・キホーテのピアス』は毎号読んでいますし、英国留学の体験記『ロンドン・デイズ』も印象に残った作品でした。
数多く出版されている鴻上作品の中でも、この本は出色の出来と言っていいほど、素晴らしい内容でした。ニュースサイト「AERA.dot」の連載を書籍化したもので、タイトルからわかるように人生相談本です。
連載も読んでいましたが、まとめて読むと、どんな相談にも考え抜いた答えを返しているのがすばらしい。
しかも、ここがポイントなんですが
相談者が「すぐ始められることを具体的に」提案しているんです。
誰しも悩んでいる時は、ただの励ましや精神論は耳に入りません。五里霧中です。そんな人に正しいことを語っても仕方がない。提案すべきは、今から何をしていけばいいのか。これに尽きます。
鴻上さん自ら「あとがき」にこう書いています。
「もし、『ほがらか人生相談』を受け入れてくれる人が多いとしたら、演劇の現場のリアリティーに、僕が鍛えられたからだと思います。演劇という人間と人間がぶつかる場所でなんとかギリギリの落とし所を見つけようとして、観念的ではなく、理想論でもなく、精神論だけでもなく、具体的で、実行可能な、だけど小さなアドバイスをずっと探してきた結果だと思います」
〈具体的で、実行可能な、小さなアドバイス〉
相談者が求めているのはまさに、これ!
大いに共感した次第です。この人生相談は、続編も書籍化しています。現在も連載は続いているので、ご興味あればご覧ください。ホントに良いです。