スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

雪月花の思い出

まもなく4月なのに冷え込んでいる。天気予報によると、明日の大阪は雪の可能性もあるそうだ。ということは、桜の開花も遅れ、「春のおどり」中日あたりに満開になる? 松竹座で「桜咲く国」に浮かれて、それから満開の夜桜を観にいくってことも可能なわけだ。寒気よ、ありがとう。


桜と雪。この組み合わせで思い出すのは、平成13年前の春。この年は桜が一旦満開になった後に一気に冷え込んだ。3月31日、六代目中村歌右衛門が亡くなる。その日、東京に雪が降ったのだ。千鳥ヶ淵の満開の桜がうっすらと雪化粧をし、夜空には凛とした月が浮かんでいた。芝居好きの友人は「歌右衛門が降らせたんだなあ」とつぶやき、私は舞台でしか見たことのない「雪月花」が東京の真ん中に出現したことに興奮していた。


あれからもう9年。私は、歌右衛門のいなくなった歌舞伎界から足を洗って、普通の芝居好きに戻った。その代わりレビューに出会い、OSKのファンになり、春を待ちわびる人生を送っているんだなあ……。仕事が一段落したので、ちょっと昔のことを思い出してみた春の夕暮れ。