スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

点が面を創っていく

bluesnake2007-09-02



9月最初の日曜日。東京からの帰路、熱海に立ち寄った。夏休み最後の日とあって、驚くほどにぎわっている。


熱海は、かつて栄華を誇ったリゾート地のご多分に漏れず、バブル崩壊後、客足が激減した。団体から個人へ、慰安から保養へ、量から質へという時流の変化に乗れず、悪戦苦闘していたドン底の時期に、縁あって私は観光PRの仕事で、この街に足を踏み入れた。以来、年に数度は訪れている。


ここ2年ぐらいだろうか、熱海は確実に変わっている。来るたびに変化がある。それが、おもしろくて仕方がない。


といっても、変化の度合いは「些細なもの」。和菓子屋にオツな創作菓子がお目見えしたり、路地裏の廃屋がカフェとして再生されていたり、街角に小さな足湯ができたかと思えば、そば屋に伊豆名産の小海老や海草を使った一品が登場したり、と。その程度である。


しかし、変化が小さいがゆえに、それらは着実に根付き、頑丈な礎になっているように思う。


何かを変えるにしろ、再生するにしろ、結局は、個人単位の「試行」を積み重ねていくしかないんだ、ということを今日も旅館街を歩きながら、じんわりと肌で感じた。いまの熱海は、けっこう重要なことを私に教えてくれるのである。


秋が深まったら、今度は、ここから伊豆の海を眺めてみようか。