スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

春のおどり

bluesnake2008-04-26



OSK「春のおどり」を観てきた。


OSK。正式名称はOSK日本歌劇団。宝塚と同じく、女性だけのレビュー・カンパニー。OSKに興味を抱くようになったのは、一冊の本がきっかけだった。『OSKを見にいけ!』(青木るえか著、青弓社)。『週刊文春』や『本の雑誌』に連載をもつエッセイスト・青木るえか氏が、ひょんなことからOSKにハマり、猛烈な追っかけを始める。そのブログを採録した本なんですが、まぁ、とにかく熱い。濃い。愛情と妄想が炸裂というか、ひとりの人間をここまで掻き立てるOSKという存在が気になって、連休の初日、大阪へ馳せ参じたというわけで。


「春のおどり」は、OSKのメイン公演で、和物と洋物レビュー二本立てという構成。昔から「芝居の宝塚、踊りのOSK」と言われてきたそうなんですが、ダンスは凄かったです。とりわけ、群舞。ビートのきいたスパニッシュ音楽で踊るダンスは圧巻。シャープで、テンポが速い。人間、どうしたら、こんなに速く動けるのか…と感動しきり。ラインダンスも、宝塚のは可愛らしいって印象だったが、こちらはキレがあって、カッコイイ。メンバーこそ少ないものの、迫力満点でした。


しかも!


ここが、個人的には宝塚との大きな違いだと思うんですが、客席が熱い。濃い。劇場(松竹座)がコンパクトなこともあって舞台と客席が近く、一体感があるんですね。歌舞伎風に大向がかかるわ、手拍子は当然だわ、スターもどんどんと客席に降りてくるわ。いい意味で、小劇場や大衆演劇に似たボルテージ。ちょうど千秋楽だったので、OGのみなさんも詰めかけており、幕間のロビーは、ちょっとしたお祭り状態。(和服&ショートヘアーのかっこいい御婦人が目につきました)男性客もかなりいて、カップルや親子、家族連れで来ている方が大半だった。


青木さんは、以前、宝塚の歌劇も観ていたそうだが、OSKに出逢って「堕ちてしまった」という。「宝塚ではなく、なぜ、あえてOSK?」という疑問は門外漢からすれば当然の問いかけで、私も実際に幕が開くまでは疑問符が消えなかったんですが、百聞は一見にしかず。ナマで観て、深く納得しましたね。


OSKの舞台は、逆風に立ち向かう現状も含めて、迫り来るものがあります。原初の快楽とでも言うべきか、歌や踊りが本来持っている、野太いパワーを見せてくれる。希有なカンパニーです。