下町の聖域
「楽」が来年の一月末で閉店!
私にとっては某社崩落よりも強烈なニュースが飛び込んできた。
「楽」は名古屋の中村区にある和食処。二階に座敷があり、そこで頻繁に落語会が開かれている。立派な舞台があり、定員七十人という小空間なのでマイクは無し。ゆえに、落語や講談を「生の声」で聴けるという、話芸ファンにとっては涙が出るほどうれしい空間なんです。
しかも、演者が粒ぞろい。今年に入って「楽」で聴いた噺家をあげてみると、柳家喬太郎、春風亭昇太、三遊亭白鳥……東京ならホール独演会も完売してしまうような人気どころばかり。こういう実力者の芸に至近距離でふれられるんですから、「楽」は「だれにも教えたくない隠れ家」だったんですよ。というか、もはや聖域に近かった。それが無くなってしまうとは……諸行無常にもホドがある。
閉店の理由は営業不振ではなく、ご主人のご事情だそうです(ご家庭の事情?)。なので、いつか再開という可能性もある様子。そこに一縷の望みを託しております。
あぁ、「楽」の二階。
これまで何度通ったか、もう数えきれない、和みの空間。一番の思い出は、一昨年の師走に聴いた、この人。あの日の温かな空気は、忘れられません、今でも。