スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

話芸の幸福

bluesnake2008-12-07



論語塾へ行く。


このところ、某社激震の影響で目まぐるしい毎日がつづき、疲労困憊の状態だったんですが、久方ぶりに穏やかな時間が取り戻せて、ホッと一息。


論語を音読し、文字を書き写していくうちに、鬱々した気分が、じわりと溶けていく。背筋がピンとのびる。心がクリアになっていく。あぁ、孔子は偉大だな。二千五百年の時を経て、力を与えてくれるんだから。


孔子先生もすごい人ですが、本塾の講師を務める呉智英氏も、いやはや、すごい人だなと改めて思いましたね。


以前も書いたけれど、呉先生の講義って心地いいんですよ。内容もさることながら、しゃべりのテンポとリズムが抜群。明朗な口調で、淀みなく、さくさくと放たれる言葉。要所はじっくりと聴かせ、ダレ場は、さらりと流す。緩急の付け方が自在。話術というより、もはや「話芸」の域。


論語塾の講義方法って、じつはとても単調なんです。まず先生が読み下し文を一文ずつ音読する。それに塾生全員がつづく。音読の後、先生が要点を解説。終われば、次の章へ移る。約二時間半、この繰り返しなんですね。


これね、凡庸な講師ならば、十分で飽きがくる。二十分でもう勘弁してくれ、と声を上げたくなる。それほど単調な作業のリピートです。しかし、呉先生の手にかかれば、不思議なことにダレないし、飽きないんですね。まさに名人の高座。呉先生「話芸」のツボを、いつ、どうやって体得してこられたんでしょうね。今度ぜひ伺いたいものです。


二月に始まった論語塾も、今日で折り返し。前半最後の「郷党編」を無事に終了。来月からは、後半に入っていく。論語は、一般に、後半は面白くないと言われるんですが、呉先生曰く、「後半部は雑然としている。ゆえに面白い。儒教の濃厚なエキスが散りばめられている」そうです。


混沌として、猥雑。そこに珠玉の言葉が眠っている。ますます楽しみです。