ミュージシャン孔子
一気に秋。今日など「涼しい」を通り越して「寒い」ほどである。仕事が一段落したので、ひさびさに読書三昧。カラッと晴れた秋の午後、窓辺に寝ころんで、老猫の腹をなでながら、本を読む。あぁ、至福のひととき。
本日、読み始めたのは『上代支那正楽考』(江文也、東洋文庫)。この本、書店で偶然見つけたものなんですが、帯がカッコイイのよ。
深紅の地に「孔子はミュージシャンだった!」
著者の江文也は、戦前に活躍した作曲家・声楽家。昭和十一年に開催されたベルリン・オリンピックの「芸術競技」(当時、オリンピックには芸術部門があった!)に自作の管弦楽曲で出場し、入賞を果たした気鋭の音楽家だそうだ。江氏の生涯は『まぼろしの五線譜 〜江文也という「日本人」』というノンフィクションにもなっていて、そちらも興味深いのだが、この江氏が、ひときわ勢力を注いだのが、孔子の音楽の復興だという。
『上代支那正楽考』は、江氏が「音楽家としての孔子」を追い求め、研究の成果をまとめた論評集というべき一冊。初版は、昭和十七年。それが六十六年のときを経て、今年五月、東洋文庫から復刻されたわけなんですね。
「孔子=音楽家」という図式は、一般にはピンと来ないでしょうが、孔子は思想家であると同時に「孔子楽団」を率いてパフォーマンスを繰り広げていた、いわばバンド・リーダー。孔子楽団が、いったいどんな楽器を使って、どんな音楽を奏でていたのか? これは気になるところ。
目次を見ると
なんて、気になる章も多々あり、孔子先生の熱血ミュージシャンぶり(?)が楽しみ。
まだ数ページしか読んでないのですが、冒頭から著者・江文也の並々ならぬ熱意が伝わってきて、惹き込まれます。東洋文庫入りした伝説の書に対していうのもナンですが、この本、かなり名著の予感。