スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

ブックカバーチャレンジ(前編)

フェイスブックで「ブックカバーチャレンジ」というイベントに参加しました。7日間、好きな本を紹介していく企画。その記録をブログにも綴っておきます。

 

■1日目

 

【書名】マンガ狂につける薬 —下学上達篇—
【著者】呉 智英
【発行日】2007年6月1日
【出版社】株式会社メディアファクトリー

 

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下学上達とは「論語」(憲問篇)に出て来る言葉。卑近なことを学び、高尚なことに達する、という意味だそうです。1995年から雑誌「ダ・ヴィンチ」に連載されたコラムをまとめた1冊。漫画評論を自家薬籠中とする呉さんだけに、セレクトは渋い。

 

谷岡ヤスジの『アギャキャーマン傑作選』をイギリスの哲学者・カール・R・ポパーの『歴史主義の貧困』と並べたと思えば、「人造女性の悲哀と滑稽」と題して『ゴーダ哲学堂 空気人形』(業田良家)と岩波新書の名著『南極越冬記』を関連づける。ちなみに『南極』には、岩波新書で唯一、ダッチワイフに言及した箇所があるらしい。

下流社会 新たな階層集団の出現』と『闇金ウシジマくん』を見事にブリッジさせてみせる。呉さんいわく、下流は爛熟した文明に出現するそうだ。

 

登場する本をすべて読みたくなってしまう、マンガ評のふりをした骨太の文学論。

 

 ■2日目

 

【書名】実録・共産党 日本暗殺秘録
【著者】笠原和夫(脚本家)
【発行日】2005年9月25日
【出版社】扶桑社

 

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扶桑社の「en-taxi」という文芸誌の付録です。
仁義なき戦い」や「日本侠客伝」などの任侠映画で知られる脚本家・笠原和夫氏のシナリオ集。


「日本暗殺秘録」は、1969年に片岡千恵蔵鶴田浩二主演で映画化されていますが、「実録・共産党」は幻に終わった作品です。笠原氏は、戦前の共産党の実態を映画にすること目論んだそうで、登場人物はすべて実名。内容もほぼ史実なので、実現していたら、さぞや面白い映画になっただろうと思います。

 

あの頃の「en-taxi」は雑誌としても面白く、大ヒットした立川談春『赤めだか』やリリー・フランキー『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン』も同誌の連載から生まれた作品でした。

 

■3日目

 

【書名】まぼろしの大阪
【著者】坪内祐三
【発行日】2004年10月
【出版社】ぴあ

 

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今年1月に急逝した書評家・コラムニスト坪内祐三さんの著作です。
週刊文春に連載していた「文庫本を探せ!」文藝春秋の「人声天語」本の雑誌の「読書日記」などを愛読していました。

 

著書が数多くある中で選んだ一冊が『まぼろしの大阪』生粋の東京人である坪内さんが、関西ぴあに連載していたコラムをまとめた本です。

 

「OMMの古本祭りで買い逃してしまった本」
「キャバレー・メトロについて知りたい」
「今でも自由軒にシャトウブリアンはあるのだろうか」
水了軒の汽車辨が好き」


今は無くなってしまった場所も数多く登場していて、あの頃の大阪を偲ぶことができる一冊です。水了軒の汽車辨は、正当派の駅弁で、私も好きでした。

 

そういえば、仕事がなかった頃、坪内さんの「読書日記」を読んで、いつかこんな生活がしたい、と考えていたなぁ。ただの妄想ですが、私の憧れのライフスタイルでもあったのです、坪内さんは。

 

■4日目

 

【書名】朝鮮魅力の旅(朝鮮民主主義人民共和国ガイドブック)
【出版社】朝鮮新報社出版局編
【発行日】1996年発行

 

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2004年に北朝鮮に行った時に買った旅行ガイドです。
日本人観光客向けに出版されたもので、中身はすべて日本語。内容はごく普通です。政治色は薄い。神保町の東方書店というアジア書籍専門店で買いました。

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広告が新潟県ばかりなのは、当時北朝鮮と新潟を行き来していた万景峰号のためか。

 

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北朝鮮へは北京から飛行機で行ったのですが、驚いたことがひとつ。

 

出国審査(帰りの入国審査も)でパスポートにスタンプがなかったのです。入出国の記録を残さないようにとの配慮? ヘンなところで気遣いする国でした。

 

後編へ続きます。