傑作映画「砂の器」唯一の疑問
映画「砂の器」(1974年)をネット配信で観る。何度観ても、加藤嘉の鬼気迫る演技に圧倒される傑作です。
1974年 松竹/橋本プロダクション
村を追われた父と息子が放浪するシーンは、忘れられない。松本清張の原作には、このシーンはわずか1行しかない、というのは有名な話。この1行を見い出し、イメージを膨らませた脚本家・橋本忍の手腕に唸るばかり。
1974年 松竹/橋本プロダクション
そんな傑作「砂の器」にケチをつけるわけじゃありませんが、何度見ても「???」な展開があるのですよ。
以下、内容にふれています。
村を追われた親子は親切な警官(緒形拳)に助けられます。父を病院に入れ、息子を引き取って育てようとする警官夫婦。しかし父が恋しいのか、息子は家出をしてしまう。このとき、恐らく息子は10歳前後。いくら探しても行方は知れない。
それから約20年の月日が流れ…
退職した警官が、伊勢参りに出かけます。伊勢で立ち寄った映画館。そこに飾ってあった「一枚の写真」が事件の引き金になる。
映画館主に聞くと「著名な芸術家たちがやって来た際に撮影した写真」だという。写真が気になった警官は、翌日も映画館を訪れる。写っているのは、家出した、あの息子ではないか? そうに違いない。
すぐに上京した警官は、成長した息子=和賀英良(加藤剛)を探し出して、会うことになる。警官は、死期が迫っている父親に会ってほしいと説得をするが、有名人になった息子は、出自がバレるのを恐れて警官を殺害してしまう。
1974年 松竹/橋本プロダクション
で、疑問なのは「写真」。
警官が見た写真は、10人ぐらいの集合写真。息子はサングラスをかけている。成人してからは、顔つきも変化しているはず。しかも20年の歳月。
警官だからピンときたのでしょうか?
どうやって、あの息子だとわかったのか?
映画はテンポよく展開するので、細かい説明はありません。ただそれだけの話ですが、この映画を観るたびに、疑問が湧いてしまうのです。