スルメ日記

ライターのユッキィ吉田が「ゆるい日常」を綴っております。

巨人大鵬玉川太福4

前回に続いて、今日も4ヶ月前のことです。(もっと早く書きましょう・汗)

 

新型コロナウイルスがニュースを騒がせ始めた3月11日。大阪・道頓堀の小ホール「ZAZAポケット」へ浪曲師・玉川太福さんの独演会を聴きに行きました。

 

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太福さんは、いま人気上昇中に浪曲師。古典だけでなく、自作の浪曲も演じるので有名です。

 

この日は、なんと4席という大盤振る舞い。

 

■これぞ大福ワールド「地べたの二人より、おかず交換」

まずは、太福さんの経験をもとにした(?)新作。

 

「地べたの二人」は、シリーズになっているんですが、ある会社の中年社員と若手のやりとりを描いた作品で、これが笑える。若手が持ってきた愛妻弁当が気になるオジさん社員。渋々、おかずを差し出す若手。その後の顛末。

 

この日はショートバージョンでしたが、まさに太福ワールドそのものでした。

 

■古典もうまい「石松代参」

2席目は、浪曲ではおなじみの清水次郎長伝より「石松代参」

 

師匠譲りの渋い節回しで、なかなかの出来映え。ちなみに師匠にあたる玉川福太郎さんは、太福さんが入門してわずか3ヶ月で亡くなってしまったため、修業は苦労をされたそうです。いま曲師を務めている玉川みね子さんが、師匠の奥様です。

 

■ドキュメンタリー浪曲「サンバが正解」

そして問題の新作浪曲。この日が初演だそうです。これ、新作というよりドキュメント浪曲と言った方が良いかも。

 

どんな内容かと言いますと

 

講談師の神田伯山さんの襲名披露パーティーで余興を頼まれた太福さん。引き受けたのはいいが、会場へ来てみると、モノマネの松村邦洋活弁士の坂本頼光という有名ゲストがいるではないか!彼らの間に挟まれて登壇しなければならない。

 

一気にプレッシャーがかかってしまい顔面蒼白の太福さん。なんとか神田伯山の生い立ちや業績を浪曲に仕立てて、一席披露したのはいいが……。

 

結局、思ったほど受けなかったそうです。

 

なぜ外題が「サンバが正解」なのかは、披露パーティーの会場が「浅草ビューホテル」だったから。浅草といえばサンバ。まぁ、やけくそで付けた題名ですね(笑)とはいえ、十分に笑わせてもらいました。

 

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■まさかまさかの「任侠流山動物園」

そして締めは、まさかのアレでした。

 

「任侠流山動物園」と言えば、落語界の奇才・三遊亭白鳥師匠の持ちネタですよ。廃園に追い込まれようとしている流山の動物園を救おうと立ち上がった動物たちの任侠噺なんですが、これ全編、登場人物が動物なんです。

 

白鳥師匠で何度か聴いたことがあるものの、浪曲にできるのかと一抹の不安が……。

 

ところが、浪曲と言えば啖呵(たんか)!

 
太福さんが渋い声で啖呵を切ると、そりゃもう迫力がある。

大盛況の一席でした。

 

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余談ながら、この会(3月11日)の後ぐらいからコロナの感染が拡大して、次々とライブ関係が自粛を余儀なくされていきました。楽しみにしていた落語や講談、舞台公演のキャンセルが相次ぎ、辛い毎日を送るハメに。

 

とはいえ、4ヶ月が過ぎ、徐々に再開されており、落語会の案内も届くようになりました。早く平常に戻ってほしい。演者さんのためにも。